フーガはユーガ(2019年本屋大賞ノミネート)を読みました。
本作は、人によっては不愉快になる描写があります。(少なくとも私は苦手です。)手に取られる際は、ご注意ください。
はい、さっそくですが感想です。人間が与えられた環境の中で培ってきた考え方について、作者は書きたかったのではないかと思いました。
マズローの欲求5段階説 では、 物質的欲求、安定欲求、連帯欲求、周囲からの尊敬欲求、自己実現欲求が段階としてあると説明されます。人の動機付けには、これらの段階が重要となります。なお、正義感は、後半に存在すると思います。
ただし、本作の主人公はもっと原始的な想いで行動していたのではないかと、私は読み終えて思うわけです。
描かれている理不尽さ、ダーティさに蓋をすることは簡単だと思うのですが、その汚さが世の中に存在しないわけではなく、目をそらしてもいけないと強く思いました。
AXの時は、コミカルなうえで、切ない気持ちを持てたのですが、同じ気持ちが得られるかは疑問です。ただ、そこら中に張り巡らされた伏線はきちんと回収されていきます。それも鮮やかに。
その点だけでも読む価値のある作品だと思いました。
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