伝熱学
伝熱学は面白いです。
面白いのですが、複雑な式が多用されていたり、用語が統一されていないことが難しく思わせてしまうような気がします。そういう私も、社会人一年目には、「熱伝導率」と「熱伝達率」を間違えてしまい、笑われた記憶があります。そういう失敗があったので、今そこそこ知識を得られたのも事実ですけどね。
なお、伝熱学という枠だけでも、伝熱工学や移動現象論など、言い方が多数あり、まとめるのに苦労しそうです。この記事のタイトルは、西川名誉教授(九州大学)に敬意を払い、伝熱学とさせていただきました。
伝熱学における用語をつらつらと並べてみます。
熱伝達率〔W/m^2K〕α
同義語:熱伝達率(機械)、伝熱係数(化学)、熱伝達係数
流体と固体間の熱移動を表す係数です。扇風機の風に体を当てると冷やされますよね。この時、風によって体から熱を奪われています。
熱伝達の物理現象に着目すると、熱伝導と混合拡散の同時進行となります。そのため、熱伝導と混合拡散は、温度境界層と速度境界層の厚さで表現できます。熱伝達率を求める様々な実験式がありますが、それぞれ、Nu数、Re数、Pr数を用いて表現されます。実験式に使われている無次元数は、結局、温度境界層と速度境界層の厚さを表しているのですね。
実験式を使う場合は、使用可能範囲に注意することが重要です。
Sieder-Tateの実験式、Dittus-Boelterの実験式、Seban‐Shimazakiの実験式など
熱伝導率〔W/mK〕λ
熱の伝わりやすさを表す係数ですね。コンクリートに比べて、鉄の方が熱は伝わりやすいと思いますが、これらは熱伝導率の大小で表すことができます。
コンクリート:1.2〔W/mK〕
鉄:66〔W/mK〕
熱通過率〔W/m^2K〕k
同義語:熱通過率(機械)、総括伝熱係数(化学)、熱貫流率、熱通過係数
熱伝達率と熱伝導率を組み合わせた総合的な熱の移動しやすさを表す係数です。熱交換器の設計などでは、とても重要なキーワードですね。
温度伝導率〔m^2/s〕a
物性値です。
a=λ/(ρc)
の関係があります。Pr数を構成する値ですね。