読書日記 童の神 今村翔吾著
童の神(第10回角川春樹小説賞受賞作)を読みました。
あの時代の記録には英雄譚の敵側としてのみ描かれるであろう設定ですね。あぁこういう見方をすれば、鬼、土蜘蛛、滝夜叉、山姥、夷、百足、夜雀、犬神、、、各地に語り継がれる怪物たち(童)は、ただの人であり、都に住む人と同様に扱われていなかったのだろうと納得できました。過去読んだマンガにも、鬼が大陸(ロシアだったか?)から来た外国人だったという設定がありましたが、そうなんですよね、怪物を生むのはいつの時代も人の心なんですよ。
たくさんの人々が無念のうちに亡くなっていきます。しかし亡くなるすべての童が未来は明るくなると、明るくできると信じて自分の周りの人だけでも救おうと生き抜いた人々なのです。生きようとする者は美しく、童と京人の間に違いが無いことを見せつけられます。
今村先生は、主人公たちに強い意志を持たせつつ、時代背景と史実を組み合わせて壮大な物語を作るスタイルです。そういった点で時代物が作品として多いことも納得です。ただ、「ひゃっか」の現代劇も大変面白かったので、ぜひ次は現代劇か近代史をベースとした物語も拝読したいものです。
とてもおススメの作品です。ぜひ手にとっていただければ幸いです。
今村先生の読書日記はこちら。
kyoichirhokogajpemecha.hateblo.jp
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