平成28年度 技術士一次試験 機械部門択一問題の解答解説です。
技術士一次試験だけでなく、JABEE認定大学の機械工学科の皆さんにも活用できる内容になっていると思います。
お役に立てれば幸いです。
JABEE |一般社団法人 日本技術者教育認定機構|世界で通用する技術者」になるための学びが、ここに。 から引用
技術者を育成する教育プログラムを「技術者に必要な知識と能力」「社会の要求水準」などの観点から審査し、認定する非政府系組織です。“教育プログラム”は認定の対象とする教育の主体のことで、通常、工学・農学・理学系の学科あるいは学科内のコースに対応します。
中略
- 認定プログラムの修了生は、国家資格である技術士の第一次試験が免除されます。
問題27 外径ri , 長さLの金属円管を保温のため熱伝導率kの断熱材で覆った。断熱材の内径はri, 外径はroとする。断熱材外表面から外気への熱伝達率をhとするとき,周囲への熱損失Qを求める式として,最も適切なものはどれか。なお, 金属円管外表面温度と断熱材内表面温度は,ともにTi であり,外気温度はT∞とする。ただし,対数は自然対数とする。
~~~~~~~~~~
技術士会の正答は、⑤でした。
円筒の場合、内径に対し外径が大きくなるため、式が複雑になりますが、大事なポイントさえ押さえれば解けると思います。
放熱量Q=放熱面積×温度差×熱通過率
ですね。さらに、
熱通過率×伝熱面積=1/熱抵抗R
となります。ここで、複雑にしているのは、断熱材の熱抵抗R1と外表面から外気への熱抵抗R2を合成する必要がある点ですね。
ではまず、熱抵抗R1から求めます。
R1=log(ro/ri)/(2πLk) … (導出過程はJSME 伝熱工学P33参照)
次に、熱抵抗R2は、
R2=1/(2πroL・h) … 2πroは断熱材外径の円周ですね。
これらの合成抵抗Rは、
R=R1+R2
最後に、放熱量Qは、
Q=(Ti-T∞)/R
=(Ti-T∞)/(R1+R2)
=(Ti-T∞)/{log(ro/ri)/(2πLk)+(2πroL・h)}
=2πL(Ti-T∞)/{1/k・log(ro/ri)+1/(hro)}
と⑤に一致しましたね。
一次試験は、とにかく過去問を繰り返し解くことが、合格への近道です。
頑張ってください。