古賀恭一郎の日記

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平成30年度 技術士一次試験 機械部門択一(10)薄肉球殻容器の強度

平成30年度 技術士一次試験 機械部門択一問題の解答解説です。

技術士一次試験だけでなく、JABEE認定大学の機械工学科の皆さんにも活用できる内容になっていると思います。

お役に立てれば幸いです。

JABEE |一般社団法人 日本技術者教育認定機構|世界で通用する技術者」になるための学びが、ここに。 から引用

技術者を育成する教育プログラムを「技術者に必要な知識と能力」「社会の要求水準」などの観点から審査し、認定する非政府系組織です。“教育プログラム”は認定の対象とする教育の主体のことで、通常、工学・農学・理学系の学科あるいは学科内のコースに対応します。

中略

  • 認定プログラムの修了生は、国家資格である技術士の第一次試験が免除されます。
 
問題10 内径d=6.0 [m], 肉厚t=3.0[mm] の薄肉球殻容器に内圧p=1.0 [MPa]が作用するとき, 円周方向応力σθに最も近い値はどれか。
 
① σθ = 125 [MPa
② σθ = 250 [MPa
③ σθ = 500 [MPa
④ σθ =1000 [MPa
⑤ σθ =2000 [MPa]
 
~~~~~~~~~~

 

技術士会の正答は、③でした。
 
球の断面を想像していただき、半分に割れることを考えると、内圧が掛かって破れる断面積Atは、
 At=π/4・(d+2t)^2-π/4・d^2
  =πdt+πt^2
ここで、tはdに比べて微小ですので、二項は無視すると、
 At=πdt
となります。
 
次に、半球の断面を想像いただき、球面と平面に圧力がかかっているとします。
このとき、平面と球面それぞれの圧力で釣り合いますので、半球の平面側の断面積Aは、
 A=πd^2/4
となり、荷重Fは、
 F=p・πd^2/4
となります。
 
最後に応力σθは、F/Atとなりますので、
 
 σθ=p・πd^2/4×1/(πdt)
   =p・d/(4・t)
 
となります。それぞれ数値を代入すると、
 σθ=1.0×6.0/(4×3/1000)
   =500MPa
と③に一致しましたね。
 
材料力学入門 久保田 浪之介著作 P127を参照しました。
 
一次試験は、とにかく過去問を繰り返し解くことが、合格への近道です。
頑張ってください。
 
〔追記 2019年10月10日〕
本問の解答解説に対して、ご指摘をいただきました。この場を借りてお礼させてください。ありがとうございました。
 
ご指摘内容を抜粋して引用させていただきますと、
式はpDL/2TLではないでしょうか?
ご指摘の式を採用すると、
 1.0×6.0/(2×3/1000)=1000MPa
と、確かに④になりますね。
 
ただし、本問題は球殻容器(ガスタンクなどが近いかもしれません。)に発生する円周方向の応力を求めています。
しかし、ご指摘の式は、円筒容器(ガスボンベなどが近いですね。)の円周方向の応力を求める式ですね。
このように、円筒容器に比べて、球殻容器の方が同じ条件でも、発生する応力が2倍異なることは大変興味深いですね。
上記書籍にも記載がありましたが、球殻容器>円筒容器と強いため、ガスタンクなどは球になっているのでしょうね。