平成30年度 技術士一次試験 機械部門択一(20)斜面を転がる円柱
平成30年度 技術士一次試験 機械部門択一問題の解答解説です。
技術士一次試験だけでなく、JABEE認定大学の機械工学科の皆さんにも活用できる内容になっていると思います。
お役に立てれば幸いです。
JABEE |一般社団法人 日本技術者教育認定機構|世界で通用する技術者」になるための学びが、ここに。 から引用
技術者を育成する教育プログラムを「技術者に必要な知識と能力」「社会の要求水準」などの観点から審査し、認定する非政府系組織です。“教育プログラム”は認定の対象とする教育の主体のことで、通常、工学・農学・理学系の学科あるいは学科内のコースに対応します。
中略
- 認定プログラムの修了生は、国家資格である技術士の第一次試験が免除されます。
問題20 下図に示すように,水平から角度αだけ傾いた斜面に質量M, 半径rの円柱を置き, 静かにはなす。そのときの時刻をt=0とし,その位置から斜面に沿って下向きに測った距離をxとする。重力加速度の大きさをgとするとき, xとtとの関係として,最も適切なものはどれか。ただし,円柱はすべらずに転がり落ちるものとする。なお,中心軸周りの円柱の慣性モーメントは 1/2 Mr^2である。
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技術士会の正答は、①でした。
進行方向の加速度aは、
sinα=v’/g
なので、
v’=gsinα
となります。v’は加速度を、表します。
重心における並進運動の運動方程式は、
Mv’=Ma-F=Mgsinα-F …(1)
となる。Fは摩擦力を表します。
重心まわりの回転に関する運動方程式は、
Jω’=Fr …(2)
ここで、慣性モーメントJ、ω’角加速度です。
転がり下りる場合の角速度ωは、
v=rω
v’=rω’ …(3)
の関係が幾何学的に導ける。
式(2)、(3)から、
Jv’/r=Fr
F=J/r^2・v’
これを式(1)に代入して、
Mv’=Mgsinα-J/r^2・v’
整理すると、
Mv’+J/r^2・v’=Mgsinα
Mv’r^2+Jr^2/r^2・v’=Mgr^2sinα
Mv’r^2+J・v’=Mgr^2sinα
(Mr^2+J)・v’=Mgr^2sinα
v’=Mgr^2sinα/(Mr^2+J)
これをtで積分する、(初期条件として、t=0でv=0とした。)
v=Mgr^2sinαt/(Mr^2+J)
ここで、慣性モーメントJは指示通り、
J=1/2 Mr^2
として、代入すると、
v=Mgr^2sinαt/(Mr^2+1/2 Mr^2)
=Mgr^2sinαt/(3/2 Mr^2)
=2gsinαt/3
ここで、tで再度積分する。(t=0でx=0とした。x’=v)
v=2gsinαt/3
x=2gsinα1/2t^2/3+C
=gsinαt^2/3+C
ここで、Cは積分定数です。
初期条件で計算すると、
0=0+C
ですので、C=ゼロですね。よって、
x=1/3gt^2sinα
と、解答①に一致しましたね。(はぁ~疲れました。)
一次試験は、とにかく過去問を繰り返し解くことが、合格への近道です。
頑張ってください。