平成30年度 技術士一次試験 機械部門択一(4)積層板の熱応力
平成30年度 技術士一次試験 機械部門択一問題の解答解説です。
技術士一次試験だけでなく、JABEE認定大学の機械工学科の皆さんにも活用できる内容になっていると思います。
お役に立てれば幸いです。
JABEE |一般社団法人 日本技術者教育認定機構|世界で通用する技術者」になるための学びが、ここに。 から引用
技術者を育成する教育プログラムを「技術者に必要な知識と能力」「社会の要求水準」などの観点から審査し、認定する非政府系組織です。“教育プログラム”は認定の対象とする教育の主体のことで、通常、工学・農学・理学系の学科あるいは学科内のコースに対応します。
中略
- 認定プログラムの修了生は、国家資格である技術士の第一次試験が免除されます。
問題4 下図に示すように,2枚の鋼板の間に銅板を接着した。このとき積層板に応力は発生していない。鋼板と銅板それぞれの横断面積をAs, Ac, 縦弾性係数をEs, Ec, 線膨張係数をαs,αc,とし,αs<αcとする。積層板の温度をΔTだけ上昇させたとき, 鋼板に生じる熱応力σsと銅板に生じる熱応力σcの組合せとして,最も適切なものはどれか。
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技術士会の正答は、①でした。
複合板は、力のつり合いを考えると、両端が解放されていて、荷重は同じで向きが逆ですので、
-2σsAs=σcAc …(1)
また、温度上昇後によって生じる変位λは等しい。λは熱膨張による変位と熱応力による変位からなっている。
λ=αs・ΔT・L+σs/Es×L=αc・ΔT・L+σc/Ec×L
=αs・ΔT+σs/Es=αc・ΔT+σc/Ec …(2)
σcは上の式(2)から、展開します。(おぉ長そうだなぁ)
αs・ΔT+σs/Es=αc・ΔT+σc/Ec
ここで、式(1)から、σs=-σcAc/2As を代入すると、
αs・ΔT-σcAc/2AsEs=αc・ΔT+σc/Ec
σc/Ec+σcAc/2AsEs=αs・ΔT-αc・ΔT
σc/Ec+σcAc/2AsEs=(αs-αc)ΔT
σc・Ec・2AsEs/Ec+σcAc・Ec・2AsEs/2AsEs=(αs-αc)ΔT・Ec・2AsEs
σc・2AsEs+σc・AcEc= 2AsEsEc(αs-αc)ΔT
σc(2AsEs+AcEc)= 2AsEsEc(αs-αc)ΔT
σc= 2AsEsEc(αs-αc)/(2AsEs+AcEc)・ΔT
ちょこっと整理して
σc= -2(αc-αs)EcEsAs/(2EsAs+EcAc)・ΔT
次に、σsを求めましょう。
αs・ΔT+σs/Es=αc・ΔT+σc/Ec
に式(1)から、σc=-2σsAs/Acを代入すると、
αs・ΔT+σs/Es=αc・ΔT-2σsAs/(Ac・Ec)
σs/Es+2σsAs/(AcEc)=αc・ΔT-αs・ΔT
σs・Es・AcEc/Es+2σsAs・Es・AcEc/(AcEc)=Es・AcEc・(αc-αs)・ΔT
σs・(EcAc+2EsAs)=(αc-αs)EcEsAc・ΔT
σs=(αc-αs)EcEsAc /(2EsAs+EcAc)・ΔT
と解答①に一致しましたね。
基礎材料力学 小泉堯 著 P26を参照し、編集いたしました。
一次試験は、とにかく過去問を繰り返し解くことが、合格への近道です。
頑張ってください。