令和元年度 技術士一次試験 機械部門択一(27)冷凍庫の電力消費量
令和元年度 技術士一次試験 機械部門択一問題の解答解説です。
技術士一次試験だけでなく、JABEE認定大学の機械工学科の皆さんにも活用できる内容になっていると思います。
お役に立てれば幸いです。
JABEE ｜一般社団法人 日本技術者教育認定機構｜世界で通用する技術者」になるための学びが、ここに。 から引用
技術者を育成する教育プログラムを「技術者に必要な知識と能力」「社会の要求水準」などの観点から審査し、認定する非政府系組織です。“教育プログラム”は認定の対象とする教育の主体のことで、通常、工学・農学・理学系の学科あるいは学科内のコースに対応します。
中略
- 認定プログラムの修了生は、国家資格である技術士の第一次試験が免除されます。
問題27 大きさが1m×1m×1mで成績係数（COP：Coefficient of Performance）が２の冷凍庫を考える。この冷凍庫が厚さ5cm、熱伝導率0.05W/(m・K）の断熱材でおおわれている。冷凍庫の内壁面と断熱材の外表面の温度をそれぞれ－20℃、20℃で一定とするとき、年間の電力使用量に最も近い値はどれか。ただし、冷凍庫からの冷熱の散逸は6面すべてから均一に生じるものとする。
① 2.9KWh
② 175kWh
③ 526kWh
④ 1050kWh
⑤ 2100kWh
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技術士会の正答は、④でした。
放熱面積Aは、
A＝1×1×6面＝6m^2
放熱量Qlossは、庫内、庫外温度をそれぞれ、Ti、Toとし、熱伝導率をk、断熱材厚みをLとすると、
Qloss＝（To－Ti）・A・k/L
＝（20＋20）・6・0.05/（5/100）
＝240W
庫内を一定温度に保つために必要な冷熱は、放熱量と一致しますので、電力消費量Pは、
P＝Qloss／COP
＝240／2
＝120W
１年間を時間換算すると、
24時間×365日＝8760時間
120W×8760h/1000＝1051.2kWh
と解答④とほぼ一致しましたね。
2020年8月15日追記
RRRさんへ
ご質問ありがとうございます。
ご質問の意図を察するに、単位に混乱されているかと存じます。以後その前提で追記させていただきたいと思います。意図が異なる場合は、お手数ですが再度質問いただくか、メールをいただければ追記するようにいたしますのでよろしくお願いいたします。
まず、”W”（ワット）ですが、”J/s”（ジュール毎秒）と同じ単位です。一方問題文が求めている解答の単位は”kWh”（キロワットアワー）となっており、＝3600”kJ”(キロジュール”となります。
つまり、J（ジュール）で単位をそろえると、
- W ＝J/s
- kWh＝3600kJ
ということですね。それぞれ単位の次元が異なることがわかります。
ここで、計算途中の
Qloss＝240W
に着目していただいています。こちらは、上の式のとおり、240W＝240J/sですので、秒の逆数の単位を持ちます。
次に解説の式を変更して、
1/1000（Wh→kWh変換）×120W×8760h＝1051.2kWh
と、kWに時間を掛けており、1051.2kWh＝3,784,320kJと時間の次元を持ちません。
このように前半の式では、たしかに”W”を用いておりましたので、秒の逆数の単位を持っていましたが、後半では時間を掛けていますので、時間の単位が無くなります。
kWh＝kW・h＝kJ/s・h＝3600kJ(h/sは3600で換算できますね。）
とつらつら説明してきましたが、いかがでしょうか？
一次試験は、とにかく過去問を繰り返し解くことが、合格への近道です。
頑張ってください。
