読書日記 密室狂乱時代の殺人 鴨崎暖炉著
「このミステリーがすごい!」大賞受賞のシリーズ作密室狂乱時代の殺人読みました。
とても面白く一気に読んでしまいました。最後に物語を通じた作者から読者へのトリックがあり、これも面白く読ませてもらいました。
正直まったく気づきませんでしたね。
ただ、ネタバレするといくつか気になる点があったので、次回以降は科学考証を入れてはどうかと思いました。
前作の読書日記です。
kyoichirhokogajpemecha.hateblo.jp
ではネタバレを含んだ、科学的に気になったところです。「私気になりますっ!」
1.十字架の枝取り付け部が頑丈すぎません?
十字架の塔は実際に作れるのでしょうか。10m×3m×3mの直方体が片持ちはりになるなんて、怖くて仕方ありません。
おそらく見えないだけで、梁が入っているのだと想像して読んでいました。もしくは例の特殊合金でしょうか。しかも最も応力が発生する根本には、エレベータ機能までついているというおまけ付き。設計者泣かせな建物ですね。
2.神奈川県では地震が起きない?!
コテージを浮かせるトリックがありましたが、建物に限らずエアコンの室外機なんかも良く見てみると基礎と締結をしています。その理由は、地震があると揺れで滑ったり、最悪転倒することがあるからです。
発注者が外国の方だったからかとも思ったのですが、本作では、基礎との締結部の取り外し作業が描かれていないだけで、きっとトリックを実施した後に、締結作業をしているのでしょう。重機担当者泣かせのトリックですね。
3.お嬢様はクレーン操作プロ?!
コテージをクレーンで浮かせるだけでもなかなかでしたが、そのコテージの凹部に十字架の塔の凸部を差し込むという、熟練のクレーン作業者でも失敗しそうな作業をお嬢様が失敗無く実行しています。
塔の腕の部分の断面は3m×3mで、コテージ側の掃き出し窓が4m×4mと平均して50cmの隙間を空けながら6mほど水平にコテージを入れていくとは、とても素晴らしい操縦テクニックがあったとしか思えません。さらに島ですが、操作中に風は吹かなかったものと思われます。コテージを調査した際にキズなどの報告は無かったので、操作ミスは無かったのでしょう。
4.雨も降らない。
首切り密室のトリックも驚かされたのですが、ヒンジのようなものが付いた天井や、東側の壁と南北の壁との隙間に雨が入りこんだり害虫などが侵入したりすることが想像されました。いわゆる雨仕舞い・端仕舞いの描写がありませんでしたからね。また、天井が谷折りになるのであれば、断熱材はどうしていたのかも気になります。きっとこの島は雨が降らず、害虫も完全に駆除されており、快適で過ごしやすい環境なののでしょう。
番外.この島の設備は防音設備が充実
破城槌車を使って、合金の壁にぶつかっていましたが、この静かそうな島でそんな破壊音を出すと、誰かに気づかれてしまいそうなものですが、本作では触れられていませんでした。